ぎっくり腰になったとき、自動車の運転をしても良いのか悩む方は少なくありません。
今回はその点について、わかりやすく解説していきます。
ぎっくり腰とは?
いわゆる「ぎっくり腰」は、医学的には「急性腰痛」と呼ばれるもので、突然腰に激しい痛みが走る状態です。
原因はさまざまで、筋膜・椎間板・椎間関節・滑液包(かつえきほう)などの組織が損傷し、炎症を起こしていると考えられます。
このような炎症が起こると、以下のような動作が困難になります。
- 椅子から立ち上がるときに真っすぐ立てない
- 前かがみになって洗顔できない
- 靴下を履こうと前屈すると痛くて動けない
- 寝返りを打つときに痛みや不安感がある
これらの症状は、腰に強い負担がかかっているサインです。
腰痛があるときに座る姿勢は危険
ぎっくり腰の際に特に注意したいのが「座る姿勢」です。実は、立っている時よりも座っている時の方が、腰には大きな負担がかかります。
これは、立っている時には足首・膝・股関節が衝撃を吸収するクッションの役割をしてくれますが、座っている時はその負荷が直接腰に集中してしまうためです。
さらに、同じ姿勢を長時間続けていると、腰回りの筋肉や軟部組織が硬くなり、血流が悪くなって、痛みが悪化する悪循環に陥ります。
こうしたことから、ぎっくり腰の状態で長時間の運転をするのは、非常にリスクが高いと言えるでしょう。
どうしても運転しなければならない場合の対策
とはいえ、仕事や家庭の都合で、どうしても運転しなければならないケースもあります。
そうした場合のために、少しでも腰への負担を減らすための対策を以下に紹介します。
コルセットを着用する
コルセットを巻くことで、腹圧を適切に保ち、腰椎や骨盤にかかる負荷を軽減できます。
動作を補助し、痛みの予防にも効果的です。
こまめな休憩と体の動き
運転中は、最低でも30分に一度は車を停めて休憩を取りましょう。
屈伸運動、背中を丸める・伸ばす動き、太もも裏や膝裏のストレッチなどを行うと効果的です。
どうしても休憩が取れない場合は、運転席で座る位置を5分ごとに少しずつずらしてみましょう。
背筋を伸ばす、左右どちらかに重心をかけるなどして、「同じ姿勢を続けない」ことを意識してください。
多少姿勢が悪くても、痛みが少ない体勢のほうが良い場合もあります。
鎮痛薬の使用
痛みが強い場合は、市販の消炎鎮痛剤や医師の処方薬を服用するのも選択肢の一つです。
ただし、薬で痛みを感じにくくなったからといって無理をしてはいけません。
必ず上記のコルセットの着用や小まめにストレッチなどの対策と併用し、痛みが和らいでも慎重に行動しましょう。
運転席でできる簡単な体操
車のシートは、背中が丸まりやすく、骨盤が後ろに倒れる(後傾する)姿勢になりがちです。
この状態が長く続くと、腹圧を支える「腹横筋(ふくおうきん)」の働きが弱まり、逆に腰の骨や筋肉、椎間板への負担が増してしまいます。
運転中も、できる限り以下のような動きを取り入れてみましょう。
- 呼吸に合わせて肋骨を締める(腹横筋を意識)
- 呼気(息を吐くタイミング)に合わせて左右に体をひねる
- ゆっくりと体を横に倒す
狭い車内でも、小さな動きを積み重ねることで腰への負担を減らすことができます。
「じっと座りっぱなし」は避け、少しでも体を動かすことを心がけましょう。
最後に:ぎっくり腰は“軽症”ではない
ぎっくり腰は「時間が経てば自然に治るだろう」と軽く考えてしまう人も多いですが、これは大きな間違いです。
初期の対処を誤ると、慢性腰痛として長年付き合うことになる恐れもあります。
大切なのは、その時々の状態に合わせて、無理のない・丁寧な対応を心がけることです。
症状をこじらせず、できるだけ早く痛みを軽減するためにも、今回ご紹介した内容を参考に、自分の体を守る行動をとっていきましょう。