右肩を持ち上げる動き(挙上)に制限がある方に対する施術

ビフォーアフター,イメージ

来院されたきっかけ(来院動機)

70代の男性。
長年、製造業に従事されており、仕事中はずっと前かがみの姿勢で作業することが多かったそうです。
特に利き手である右腕や右肩を使う動作が多く、半年ほど前から右肩に違和感を感じるようになりました。
その後、違和感は徐々に痛みへと変わり、日常生活に支障が出てきたため整形外科を受診されました。
レントゲン検査では異常は見つかりませんでしたが、痛み止めの薬と湿布が処方され、週1回の通院リハビリを続けていたそうです。
しかし、半年経っても症状は改善せず、「本当にこのままで良くなるのか?」という不安から、当院をネットで検索し、来院されました。

現在の症状(自覚症状)

右肩の痛みは、特定の動作をすると強く現れます。

  • 服の着替え時:腕を上げたり、後ろに回そうとすると「ズシーン」と響くような痛み。
  • お風呂で体を洗うとき:左肩を右手で洗おうとする際、腕が回らず激痛。
  • 拭き掃除など右手を大きく使う家事をした後:痛みが増す。
  • 高い場所の物を取る・下ろすといった動作:肩が痛くてできない。
  • 夜間:特に痛みがひどいと、寝ていても目が覚めてしまい、右肩の「置き場」に困る。

初回の検査結果

初診時の検査では、右肩の関節の動きに大きな制限が見られました。

  • 肩を前に上げる(屈曲):90度まで
  • 横に広げる(外転):70度まで
  • 肩をひねる(内旋・外旋)動作:複数の方向で制限あり
  • 水平方向に動かす(水平内転):強く制限あり

また、右肩周辺の筋肉、特にインナーマッスル(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)とアウターマッスル(三角筋・僧帽筋・菱形筋)に強い硬さがあり、胸椎(背骨の真ん中)や肩甲骨の動きもかなり悪くなっていました。
肩甲骨は外側に開いて上がった位置に固定されており、内側に引き寄せる動き(内転)や下げる動き(下制)ができにくい状態でした。

施術内容と経過

まずは、肩関節周囲の筋肉や軟部組織の緊張を緩める施術から開始。
合わせて、肩甲骨と背骨(脊柱)の可動域を広げる施術も行いました。
また、施術だけでなく、ご自宅でも行える簡単なトレーニングを指導し、習慣として取り入れていただきました。
初回から少しずつ可動域の改善は見られましたが、症状の戻りも早く、改善を定着させるため、週に2回の来院をお願いしました。
通院を重ねるうちに、6回目の施術あたりから戻りが少なくなり、日常生活での使い方にも変化が出てきたことで、夜間の痛みが出なくなるまでに回復していきました。
ご来院から約2か月後には、写真撮影時に右腕をしっかりと挙げられるほど可動域が回復
症状は着実に改善しています。

施術者からのコメント

右肩の痛みや動きの悪さは、肩関節だけに原因があるわけではありません
長年の姿勢習慣や仕事の動作により、背骨や肩甲骨の可動性が落ちてしまっていたことも、今回の症状に大きく関係していました。
肩の痛みによって動かせなくなると、さらに背骨や肩甲骨の動きが悪くなり、結果的に肩の痛みも悪化する、このような悪循環に陥っていたのです。
そこで、筋肉の緊張を緩めながら、関節や肩甲骨の動きを回復させる施術を行い、あわせてご本人には自宅トレーニングと、日常生活での身体の使い方を丁寧に指導しました。
その積み重ねが功を奏し、少しずつ動きが回復し、痛みも緩和されていきました。
今後も継続的なケアと適切な動作の習慣化が大切です。

このように、肩の痛みには様々な要因が関係しており、症状が長引くケースでは、単に痛いところだけをケアするのではなく、全身の使い方や姿勢、筋肉の状態まで総合的に見ることが重要です。
今の痛みでお困りの方も、ぜひ一度ご相談ください。

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この記事を書いた人

黒木 英二のアバター 黒木 英二 柔道整復師,鍼師,灸師

国家資格:柔道整復師・鍼師・灸師
生年月日:1980年2月6日
施術経験22年以上
様々な施術法を学び、臨床に活かしています。

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