みなさんは「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」という言葉を聞いたことがありますか?
これは、背骨と背骨の間にあるやわらかいクッションのようなもの(椎間板)が外に飛び出して、神経を押してしまう状態のことです。
腰が痛くなったり、足がしびれたりすることがあります。
ヘルニアになりやすい人
実は、ヘルニアになるかどうかは「生まれつきの体質(=遺伝)」が大きく関係していることが分かっています。
たとえば、お父さんやお母さんが昔ヘルニアになったことがあると、その子どももなりやすいと言われています。
これは、体のつくりや骨の形などが親から子に似るからです。
レントゲン写真(体の中が映る写真)を見ると、おばあちゃん・お母さん・娘さんの背骨の形がよく似ていることがよくあります。
これが「骨格の遺伝」です。
でも、心配しすぎないでください。
私たちが「後から変えられる」大事なポイントがあります。
それが「姿勢(しせい)」です。
猫背とヘルニアの関係
みなさんの頭はだいたい7kgくらいあります。
これは大きなお米の袋やダンベルと同じくらいの重さです。
この重たい頭を、細い背骨がずっと支えてくれているのです。
背骨のひとつひとつの間にある椎間板もとても小さいので、バランスがくずれると、とても大きな負担になります。
猫背になるとどうなるのか
猫背とは、背中が丸くなって、頭が前に出てしまった姿勢のことです。
この姿勢になると、頭の重さがまっすぐ下に落ちず、前に引っぱられる力が首や背中にかかります。
わかりやすく言うと、クレーンで重たいものを引っぱったとき、ワイヤー(ロープ)にとても強い力がかかりますよね?
それと同じで、猫背の姿勢では首や背中に大きな負担がかかります。
長くこの姿勢を続けると、体がかたまり、腰が痛くなったり、ヘルニアが起こりやすくなったりするのです。
猫背のときの体の様子をイメージしてみよう
たとえば、ソファに座ってリラックスしているとき。
横から見ると、
- 骨盤(おしりの骨)は後ろに倒れている
- 背中は「C」の字のように丸くなっている
- 肩は前に出て、首が縮んでいる
- 肩が上がっている
この姿勢は、一見ラクに見えますが、筋肉があまり使われておらず、体がさぼっている状態です。
長時間このままでいると、体がかたまってしまい、急に動いたときに「ぎっくり腰」や「筋違い(すじちがい)」を起こすことがあります。
正しい姿勢はどうやるのか
それでは、理想的な姿勢について分かりやすく説明します。
- 座るときは、左右のおしり(坐骨)がイスにしっかりついていることを確認しましょう。
- 息をゆっくり吐きながら、おなか(下腹)を軽く引っ込めるようにします。
- 肋骨(ろっこつ)は広がりすぎず、すこし締まっているような感じです。
- 肩甲骨(けんこうこつ)は背中の中心に向かって、やさしく下げます。
- 首は長く、あごは引かずに、頭を後ろにすーっと引いて、肩の上に乗せるようにします。
- 腰は反らせず、お腹を引きながら、体全体がまっすぐ前にのびるように意識します。
こうすることで、お腹の中の筋肉(インナーマッスル)がしっかり働いてくれます。
背骨や椎間板にかかる負担が減って、体のバランスもよくなります。
詳しい姿勢の作り方は、この動画も参考になります。
さいごに

椎間板ヘルニアがよく起こる場所は、首の5番目と6番目の間です。
ここは猫背のときにとくに負担がかかる場所です。
だからこそ、ふだんから姿勢に気をつけて、自分の筋肉をうまく使うことが大切です。
そして、猫背や骨のゆがみは、自分ではなかなか気づきにくいものです。
ですから、時々、専門家に相談したり、体のチェックをしてもらったりすることもおすすめです。
小さな意識の積み重ねが、大きなトラブルを防ぐことにつながります。