腰痛というのは症状名です。
もっとも一般的に認識されている腰痛疾患として「ぎっくり腰」や「椎間板ヘルニア」が挙げられます。
「ぎっくり腰」も正確な病名ではなく、病名をつけるとすると「急性腰痛症」となります。
詳しい急性期の施術内容はこちらのページご覧下さい。
腰痛の原因
腰痛の原因ですが実に様々な原因で生じます。
椎体という背骨の本体の部分は、手の触れられる背表面にあるのではなく身体の中心にあります。背骨は深部にあるため、脳で認識された痛みの部位が正確な部位を示すわけではありません。
そのため、腰のある部分が痛いと言っても、その局所に原因があるわけではないことが多いのです。
背骨は早ければ10代後半から老化が始まると言われています。
これは変性と言って、椎間板であればクッション性がなくなっていくことです。
これは2足歩行を始めたときからヒトに課された宿命と言っていいでしょう。
生涯腰痛を経験しない人は10人中、1,2人と言われています。また、2人に1人は今現在、腰痛を感じているとも言われます。
腰椎は上半身と下半身をつなぐ唯一の骨格ですから、上半身と下半身の動きに際して、すべての負荷が腰椎にかかります。
重心線が腰椎を通っていると負荷は体重分の100%ですむのですが、重心線がずれるとモーメントアームが長くなるので、腰椎に対する負荷が増加します。
まっすぐに立っているときの腰椎の負荷を1とすると、前屈みになることで腰椎にかかる負荷は1.5倍になります。
また、これはイスに腰掛けているときとほぼ同じ負荷になりますので、実は座っているときの方が立っているときよりも腰椎にかかる負荷は大きいのです。
イスに腰掛けて前屈みになると2倍近くの負荷になります。前屈みで荷物を持つと更に負荷が増えることは容易に想像できます。腰椎の前方を支えているのは椎間板です。
このようにして、負荷がかかったときに椎間板が傷ついてぎっくり腰や椎間板ヘルニアが生じるのです。ですから、予防には姿勢が重要です。
通常はものを持った拍子に、とか、身体を捻ってから、とか言うきっかけがあることが多いですが、くしゃみやちょっとした動作で生じることもあります。
転倒や転落など、大きなケガが起因となることもあります。
また、足のしびれなどの神経障害を伴う場合もあります。
この痛みの原因は何なのかと言うと、様々な原因があります。
最も多いのが椎間板によるものです。
椎間板の周囲にある線維輪という組織が年齢とともにもろくなってきます。
ここには神経繊維が豊富に存在しているため、線維輪が傷むとその瞬間から激痛が生じます。
これがぎっくり腰となるのです。
くしゃみなど、腹圧が瞬間的に高まったときにも髄核の圧が高まり、線維輪が損傷されることがあります。
また、椎間関節という部分でも障害が起きると瞬間的に激痛を生じ、ぎっくり腰となることがあります。
当院は腰痛に対して整体施術や鍼灸、運動療法を用いて施術を行っています。
また、長年の不良姿勢や体の使い方のクセにより、背骨や骨盤のゆがみやバランスの崩れに対しては、バキバキしない背骨の矯正を行っています。
腰痛で来院された方のお声
西宮市在住 40代 男性
介護の仕事をしていてぎっくり腰をしてしまいました。以前から日常的に腰に違和感や痛みはありましたが、先日前屈み姿勢で重たい物を持った際に強烈な痛みが走りそのまま立てなくなりました。
家族になんとかくろき先生の院まで連れてきてもらい施術してもらったところ、帰りは真っ直ぐ立って帰ることができました。
数日続けて通院し、2週間が経つ頃には可動域も8割ぐらい回復しました。
施術内容は、整体・鍼・姿勢矯正をしてもらい、先生おすすめのサポーターを使っていることで今では仕事も普通にできています。
姿勢矯正のおかげか、以前よりも「姿勢が良くなった」と、周りの人に言ってもらい健康に関する意識が変わりました。
神戸市在住 60代 女性
病院で軽度の脊柱管狭窄症と言われ、どんどん悪化していくのが嫌で調べていたところ、こちらの院が気になり来てみました。
施術は全く痛くなく、的確なトレーニングや体操を指導して下さり、自分の身体と前向きに向き合うことが出来ました。
狭窄症の症状も3か月位施術してもらった頃には、ほとんど気にならないレベルになっていました。先生たちの人柄も好印象で、来るたびに自分も頑張ろうと思えます。
腰の痛みが治まってきたおかげで、娘と孫を連れて海外旅行にも行くことができたのは本当に有難かったです。友人たちにも紹介させていただきます。
腰椎椎間板ヘルニア・椎間板症
椎間板ヘルニアとは、椎骨の間にあるクッションの役割を果たす椎間板が飛び出した状態です。
椎間板とは線維輪という硬い外枠と、その内側にあるゼリー状の髄核という部分から成り立っています。
クッションの役割を担っているのはこの髄核であり、これは20歳を過ぎた時点から水分含有量が徐々に低下し、そのクッション性をなくしていきます。
重いものを持ったとき、くしゃみをしたとき、などには椎間板に強い圧力がかかります。
この時に線維輪にひび割れが生じると激痛を生じることがあり、いわゆるぎっくり腰として出現することがあります。
ひどい腰痛が数日で治まってから、次第に足がしびれ痛くなってくる、と言うのが椎間板ヘルニアの典型的な症状推移です。
急激な腰痛発作の前に前兆のような腰痛がでてくることがあります。
手術しない場合、椎間板ヘルニアの症状が消退するのにかかる期間は数週から数ヶ月程度と言われています。
その期間、施術を早期から行い、運動療法などをていくことで早期改善と再発の予防に繋がります。
また、椎間板の突出があるからと言ってヘルニアと診断されるのではなく、神経症状との合致が必要です。
神経症状を伴わないが、おそらくは椎間板による痛みが生じているのだろう、と判断される場合には、画像上のみの椎間板ヘルニアと病的意義を持った椎間板ヘルニアとを区別するために、「椎間板症」という病名をつけることがあります。
症状は腰痛のこともありますが、多くは臀部付近の痛みとして現れることが多いようです。
成長期に見られる椎間板症として、終板障害と呼ばれるものがあります。
終板障害の遺残としてシュモール結節と呼ばれるものがあります。
椎間板の圧力により、線維輪が割れるかわりに終板がへこんだ状態です。
これも腰痛の原因と考えられます。
筋筋膜性腰痛症
脊椎の両側に脊柱起立筋と呼ばれる筋群があります。
主に脊椎の支持を担っているものですが、これらの筋群に疲労をきたすと腰痛の原因になります。肩こりと同様の機序です。
本来腰椎には生理的前彎と言って、横から見ると少し前方凸にカーブしています。
腰椎の前方は腹筋と腰筋という筋群で、後方は脊柱起立筋群でバランスよく腰椎を前彎させて支えているのです。前屈みの姿勢や座位を長時間取っていると、この腰椎の前彎が減少した状態で体重を支える必要が出てきます。
そうすると、後方の脊柱起立筋群が過剰に働く必要が出てくるのです。
こうして、筋疲労が生じて筋肉がこわばり痛みを引き起こすのです。
これが筋筋膜性腰痛です。
筋肉に硬結を触れることもあり、筋肉に圧痛があります。
一旦症状が生じると肩こりと同様、筋のこわばりのための循環不良が生じ、痛みが起こる、痛みのために筋がこわばり・・・と言うふうに悪循環となります。
これを痛みの悪循環と言います。
施術により、この悪循環を断ち、原因となる動作を避けることが重要です。
また、腹筋や腰筋など、前方の筋群の筋力低下が生じていることもあり、このような場合にはこれらの筋力訓練が再発予防に有効です。
YouTubeで動画をご覧になれます。YouTubeで動画をご覧になれます。
変形性脊椎症・椎間関節症
年齢とともに椎間板が変性し、クッションの役割を果たせなくなると、椎骨そのものが接触面積を増大させようとして形態変化を起こします。
その結果、骨に色々な程度の出っ張りが生じます。
これを骨棘(こつきょく)といい、この変化を生じた状態を「変形性脊椎症」と言います。
骨棘は脊椎に限らず、骨が荷重を受ける部分に、荷重方向と垂直方向に発生します(代表的なものは膝の変形性関節症です)。
ただ、骨棘の形成はある程度の年齢になれば症状のあるなしにかかわらず、ほぼ100%の確率で見られる変化であることには注意が必要です。
ただでさえクッション性が悪く、動きがスムーズに行かなくなっているところに、骨棘が出来るとさらに動きが悪くなることがあります。
また、骨棘が周辺の靭帯や神経を刺激して腰痛を生じることがあります。
典型的には起床後に症状が強いことが多いようです。椎間関節症は症状の主体が椎間関節にあるであろうと診断される場合にこの病名がつきます。
椎間関節とは椎骨の連結を後方で、になっている関節で通常の関節と同様、関節軟骨を有しています。膝などの関節軟骨が減るのと同様、椎間関節にも同じ変化が生じます。
腰痛が主体ですが、骨棘が出来て、周辺の神経を刺激すると神経痛を引き起こします。
主な症状は腰痛ですが、おしりから太ももにかけて痛みが出ることがあります。
ふくらはぎや足先まで症状が出ることは余りありません。
変形性関節症と同様、主に動き始めに痛みが強く、スポーツ選手などの若年者に見られることもあります。
腰部脊柱管狭窄症
特殊な状況を除き、基本的には高齢の方に多い疾患です。
中高年になってくると、骨の形態変化を生じ始め、変形性脊椎症の状態になります。
椎体の後ろには脊柱管と言って、足に行く神経が束になって通っているところがあります。
椎体や椎間関節の骨棘や、周辺の靭帯の肥厚によってこの通路が狭くなります。
そうなると神経が機械的に押さえ込まれたりして、神経が直接障害される、あるいは神経が血流不足になり、しびれや痛みを生じる、と言う状態になります。
これが脊柱管狭窄というもので、通常は坐骨神経痛をきたします。
典型的な腰部脊柱管狭窄の症状として、間歇性跛行と言うものがあります。
これは普段は特に痛みはないが、一定の距離や時間を歩くと足がしびれだすと言うものです。
脊柱管狭窄に特徴的な事として、足が痛くなってきたとき、しゃがんだり、座ったりして休むと速やかに足の痛みが取れるというものです。
これは歩行時には背骨が伸びていますが、座ると背骨が少し前屈みになります。
前屈みの姿勢では脊柱管が広くなり、神経の圧迫が開放されて速やかに症状が改善するというわけです。
こういった場合は腰をかがめた姿勢での運動、特に自転車などであれば幾ら続けていても足が痛くならないと言うのが特徴です。
類似の症状として、同様に歩行時に足がしびれ痛くなるのですが、前屈みですぐに改善しないと言う場合があります。
これは通常、足の血流障害が主体であるとされ、閉塞性動脈硬化症などの疾患との鑑別になるとされています。
脊柱管狭窄と合併していることも多く、同時に治療されることもあります。
血流障害が主体の時には、脊柱管狭窄のように前屈姿勢や自転車運動では症状が出現しにくいと言う事はありません。
痛みは下肢全体と言うよりもふくらはぎのあたりを中心とした症状が強いことが多いようです。
腰椎分離症・すべり症
腰椎分離症は腰椎の後方要素の椎弓という部分の連続性が断たれてしまった状態です。
スポーツ障害として現れることも多いです。
大きく変性すべりと分離すべりに分けられます。
分離すべり症は分離症が進行した状態で、変性すべりとは分離のないすべり症のことを指します。ここでは変性すべりについて説明します。
ほとんどは前方すべりという、上位腰椎が下位腰椎に対して前方にずれるものです。
椎間板の変性による症状が強いのですが、すべりが高度になると後方にある神経を圧迫し始めますので、神経痛が生じます。
コルセットなどを併用して腰痛に準じた施術を行いますが、症状が大変強い場合には手術が選択されます。
手術は固定術と言って、金属のネジなどを用いて、すべりをある程度戻した位置で固定し、それ以上の動きが出ないようにするものです。
骨粗鬆症
骨折の危険性が生じてくるのは成人の平均値の約80%以下になったときとされており、骨粗鬆症による腰痛の典型は圧迫骨折です。
圧迫骨折は急性であれば比較的強い腰痛を生じます。
はっきりとした外傷なく発生することもあるのが特徴です。
また、骨折がなくても腰痛を生じることがあるとされています。これは骨強度が弱いために、画像上捉えることができないような、小さな骨折(顕微鏡的骨折と言います)を生じているのではないかと考えられており、骨粗鬆症の治療を開始すると腰痛が改善することがあります。
また圧迫骨折の為に椎体に変形をきたしていると、後彎変形と言って後方凸の状態になります。
高度になると、円背といって、背中が丸くなってしまいます。
こうなると脊柱起立筋の負担が強くなり、腰痛の原因となることがあります。
お年寄りの背中が曲がっているのは姿勢が悪いのではなく、圧迫骨折が存在し、背骨が変形しているために起こっているものもあります。
圧迫骨折が後方の神経を押さえると下肢の麻痺が生じることがあります。
これは受傷後早期に起こるとは限らず、数ヶ月の経過を経てから発生することもあります(遅発性麻痺)。
骨粗鬆症の予防としてよくカルシウムを取ることが強調されていますが、カルシウムを取るだけでは骨量は増えません。
骨という組織は絶えず造り替えられています。
不可にさらされない骨は幾らカルシウムをとっても強度は落ちていくのです。
無重力空間に行った宇宙飛行士が地球に帰還すると高度の骨粗鬆症になっているという話は有名なことです。
ですから、骨量改善には適度な運動が不可欠なのです。
また、カルシウムを吸収するためにはビタミンDが必要です。
このビタミンDもただ摂取するだけでは有効ではなく、活性型ビタミンDである必要があります。通常の食物中のビタミンDを活性化する最も簡単な方法は日光に当たることです。
ですから、骨量維持にはカルシウム摂取とビタミンD摂取、そしてお日様の元での適度な運動が必要なのです。
化膿性脊椎炎・脊椎の腫瘍
何らかの原因で背骨や椎間板に細菌が感染し、化膿してしまった状態のことです。
典型的には強い腰痛に発熱を伴います。
初期にはレントゲンで異常像がつかめないときもありますが、時間が経過すると骨が溶けてきたりしてレントゲンで異常像が現れ始めます。
一般的にはブドウ球菌と言って、皮膚などに常在する菌が原因ですが、結核によるものも後を絶ちません。
結核によるものを特に脊椎カリエスと呼びます。
結核の場合、高熱が出ることは少なく、微熱と腰痛が続く事があります。
通常の腰痛と違うところは痛みが強く、安静時痛(じっとしていてもずきずき痛む)が特に強いことです。
また、糖尿病など、感染しやすい全身状態の場合に起こりやすくなります。
このような場合には精密検査を受けましょう。
治療は基本的には投薬(通常は抗生物質の点滴投与)となりますが、神経麻痺(足や手に力が入らなくなる)を伴う場合や薬が無効の場合、手術が選択されることもあります。
脊椎の腫瘍は比較的まれですが、ヘルニアと思っていたら神経に出来た腫瘍が原因で神経痛を引き起こしていた、と言うこともまれにあります。
また、類骨骨腫という良性腫瘍は脊椎に出来ることがあります。
これも典型的には自発痛(じっとしていてもずきずき痛む)を伴います。
脊椎原発で悪性腫瘍が発生することはかなりまれです。
悪性腫瘍がある場合は通常、ガンの転移です。健康診断でも特に異常を指摘されてなくても脊椎の転移でガンが見つかった、と言う例もあります。
こういった特殊な腰痛によくみられる特徴は、安静時痛や夜間痛(昼よりも夜に痛み)が強いと言うことです。
通常の腰痛は寝たり背中を丸めることで多少改善し、体を動かした時や、動かしはじめに痛みます。じっとしていてもじーんと痛むことはありますが、ズキズキ痛んだり痛みのために目が覚めると言うほどのことはあまりありません。
もちろん、このような腰痛があっても特別な原因のないのことのほうが多いのですが、このような腰痛がある場合には一度MRIなどの精密検査を受けることをお勧めします。
ストレスによる腰痛
腰痛、特に慢性腰痛には、上述のような器質的障害(解剖学的に破綻を来し、客観的に異常があると思われる状態)のない場合がよくあることが知られています。
これには種々の社会的要因も関与しているとされていますが、身体化障害といって、ストレスなどの心的要因によって体調に不調をきたすものです。
もっとも典型的なものでは、症状が多彩で多岐にわたっており、腰痛や四肢の痛みの他、消化器症状なども伴います。
また、しびれや麻痺といった症状をきたすことが多いのですが、神経の分布に一致せず、症状と客観的所見の整合性に乏しいことが多いものです。
いわゆる詐病との違いはこれらの症状が非意図的であることとされます。
このような場合には心的障害の原因を認識することが大切ですが、セロトニン製剤や抗うつ薬などの安定剤が有効なことがあるみたいです。