股関節の痛みについてとその施術

変形性股関節症について紹介していこうと思います。
股関節は大腿骨の大腿骨頭と寛骨の寛骨臼によって構成されています。
・臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)
寛骨臼の発達が悪い股関節(臼蓋形成不全)では体重の支持機能が低下することになります。
また股関節の受け皿が浅くなるため十分に大腿骨頭を包み込むことができなくなります。
大腿骨頭が包み込まれた少ない部分で体重を支持することになるため関節軟骨に加わる荷重応力が増強し、軟骨の磨耗や破壊が生じてしまいます。
また変形性股関節症では、股関節の可動性低下に起因した痛みにより、さまざまな日常生活の制限が出てきます。
可動域制限が生じる原因は、骨の変化・関節包の変化・筋の変化の3つに大別されます。
・骨の変化
変形性股関節症の進行具合はX線により初期股関節症、前股関節症、進行期股関節症末期股関節症に分類されます。
初期股関節症では、大きな骨の変形は見られません。
前股関節症になると、臼蓋の上方部分に骨棘が形成される場合があります。
この骨棘はX線上では棘のようにみえますが、実際には股関節の屋根を構成する臼蓋からでる庇(ひさし)のようになっています。
荷重を受ける股関節の安定性を高めるためにできたと考えられています。
臼蓋形成不全では屋根が十分に大腿骨頭を覆っていません。この庇(ひさし)によって、大腿骨頭を覆うことができます。
しかし、この庇(ひさし)は通常の臼蓋とは違って、関節軟骨に覆われていないため十分に荷重を受けることができず、可動性が制限されることになります。
進行期股関節症では、徐々に関節面が狭くなります末期股関節症になると関節面が消失により一層可動域が制限されます。
・関節包の変化
股関節は関節包と強靭な関節包靭帯に覆われています。
関節包は表層の線維関節包と深層の滑膜という2層構造になっています。
変形性関節症になると、深層の滑膜に炎症が生じますこの滑膜炎に伴い、組織の修復過程が生じ関節包は短縮します。
関節包の表層を取り巻く股関節の靭帯は腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯からなっています。関節包を取り巻く3つの靭帯は、股関節屈曲以外の全ての運動を制動しています。
これらの靭帯のいずれか、もしくはいくつかが肥厚・短縮するとその靭帯が制動する運動が著しく制限されることになります。
運動の方向が制限されると、そこが歪(ゆがみ)となって股関節などに痛みをきたしてしまいます。
・筋の変化
変形性股関節症では立位姿勢において、股関節が内側に縮こまっている(屈曲・内転・内旋)ことが多いです。
そのため股関節の外に開く動作が制限されていることが多くなります。
また、股関節を外に開く(外転・外旋)動作を強制すると、大転子の後方部分に疼痛を訴える場合があります。
大転子の後方部分には大腿方形筋や外閉鎖筋という筋肉が存在します。
この両筋は股関節を外に捻る作用をもっているため、逆に内側に捻る動作をすると両筋は伸張されるため、大転子の後方部分に疼痛を感じる場合があります。
次に大腿骨頚部骨折について紹介していこうと思います。
歩いていて転んでしまったり、路面が凍っていて思わず滑ってしまったりした時に不意に起こってしまうとっても大変な骨折です。

高齢者の骨粗鬆症の方で好発しやすい4つの骨折があります。
一つ目は、上腕骨外科頚骨折。
二つ目は、撓骨遠位端部骨折。
三つ目は、大腿骨頚部骨折。
四つ目は、脊椎椎体圧迫骨折があります。
この中で最も癒合しにくい骨折であるのが、大腿骨頚部骨折になります。
大腿骨頚部骨折は関節包内の骨折であり、骨の修復が起こりにくいです。
骨折により栄養血管が損傷されると大腿骨頭壊死を引き起こします。
そのため、栄養血管がどれだけ温存されているかが重要で、ガーデンの分類パウエルの分類という2つの分類があります。
ガーデンの分類は骨折した部分の転位の仕方を表す分類で、パウエルの分類はX線上の骨折線の走行により分類されます。
ガーデンの分類で非転移型骨折には骨接合術が行われる場合が多く、転移型骨折には人工骨頭置換術が選択されます。
高齢者では廃用症候群を防ぐためにも早期離床が重要であり、早期から歩行が可能な人工骨頭置換術が選択されることが多いです。
また術後のリハビリ途中で股関節の外側部や内側部(鼠径部内側)に痛みが出る場合があります。
人工骨頭置換術後の痛みの原因となるのは股関節を人工関節に変えるときの手術で股関節周りの筋肉が侵襲されるため、その部分に痛みが出てきてしまいます。
術後に歩くリハビリをしていると、手術で侵襲された筋肉の部分に痛みが出てくる場合があります。
そこで痛みをかばったような歩き方をしたりすると股関節周囲の筋肉が上手く使えなくなり股関節周囲に痛みがでてきます。
痛みが引かないまま、かばった歩き方を続けていると、それが癖となりからだに歪みができ、痛みは引かないままになってしまいます。
そういった悪循環を起こさないためには、歩く時の正しい姿勢を心がけ、骨盤が後傾しないように正しいフォームで歩くことが重要になっていきます。

また侵襲された部分のケアをしていきながら筋肉の出力を出すためのトレーニングも必要になっていきます。
また、立ち上がり時に股関節内側(鼠径部内側)に痛みが出てくる場合があります。
これは股関節を安定させるための筋肉の出力が術後の侵襲により上手くできていないことに問題があげられます。
術後、筋肉の侵襲部位を把握した上でアプローチしていくことが重要になります。
立ち上がり時の股関節の痛みも股関節周囲の筋肉をアプローチすることで立ち上がり時の骨盤前傾による股関節前方への圧迫ストレスが軽減され、股関節の内側(鼠径部内側)の痛みが改善していきます。
寒い冬のメジャースポーツ『マラソン』などでよく起きる腸脛靭帯炎について紹介していきます。
腸脛靭帯とは太ももの外側にある、この黒い部分の靭帯です!

腸脛靭帯炎とはランニング時などに膝周辺が痛くなり膝を曲げたり伸ばしたりすることで腸脛靭帯と大腿骨外側顆(骨)が摩擦することによって発症するものです。
写真で指をさしている場所が大腿骨外側顆になり、腸脛靭帯と摩擦が起こり痛みが出てきます。

腸脛靭帯炎は股関節周囲の筋肉と筋膜との関連が強いとされています。
腸脛靭帯の近位部は、浅層と深層の2層に分けられます。
浅層は、主に大殿筋の表層の腱膜が移行して構成されています。
深層は、大殿筋の上の3/4の筋束、中殿筋の表層筋束とその筋膜、大腿筋膜張筋の筋束と連続性があります。
そのため、これらの筋肉を緩めてあげることで腸脛靭帯の柔軟性が改善していきます!
ランニングなどで膝上の外側が痛んでいたらもしかしたらそれは腸脛靭帯炎かもしれません。
腸脛靭帯炎になると自分でストレッチなどをするのはなかなか難しいし、逆にそれをすることで症状悪化する場合も多いです。
もし、このようなランニング障害でお困りの方は、当院での施術をお勧めします。