【土用と東洋医学】なぜ季節の変わり目に不調が出る?平賀源内の知恵から学ぶ「脾(ひ)」のツボと鍼灸ケア

土用の食の説明をする黒木先生
目次

はじめに:土用と聞くと「ウナギ」を思い浮かべませんか?

「土用(どよう)の丑の日」と聞くと、多くの方が「香ばしく焼かれたウナギを食べて夏バテを予防する日」を想像するのではないでしょうか。

実は、この「土用」という期間は、東洋医学や古代の暦(こよみ)において「お体の調子を整えるための最も重要なメンテナンス期」とされています。

今回は、なぜ土用にウナギを食べるようになったのかという面白い歴史(平賀源内のエピソード)を交えながら、東洋医学から見た「土用」の仕組み、そしてこの時期に起こりやすいお体の不調と鍼灸ケアについて詳しく解説していきます。

なぜ土用にウナギ?江戸時代の天才・平賀源内のマーケティング

平賀源内が巧みに利用した「土用」という言葉ですが、そもそも、なぜ「夏の土用=ウナギ」という風習が定着したのでしょうか。ここには江戸時代の有名な蘭学者であり発明家、平賀源内(ひらが げんない)が深く関わっています。

旬ではない「夏のウナギ」を売るためのアイデア

実は、ウナギの本来の旬は秋から冬にかけて。脂が乗っていない夏場はウナギが売れず、あるウナギ屋が商売あがったりで困り果て、平賀源内に相談を持ちかけました。

そこで源内は一工夫し、店先にこのような看板を出させました。

「本日、土用の丑の日。ウナギの日」

当時の江戸には「夏の土用(丑の日)には『う』のつく食べ物を食べると夏バテしない」という食養生(食生活による健康法)の風習がありました。源内はこの風習に着目し、「う」のつくウナギを強烈にアピールしたのです。

このキャッチコピーが大ヒットし、「土用の丑の日=ウナギを食べる」という習慣が現代まで受け継がれることになりました。

東洋医学で紐解く「土用」の本当の意味

歴史的イベントとして定着した「土用」ですが、東洋医学(五行説)の観点から見ると、単なるカレンダーの行事以上の深い意味があります。

季節をつなぐ「土」のエネルギー(五行説)

東洋医学の根本となる「五行説(ごぎょうせつ)」では、自然界のすべてのものを「木・火・土・金・水」の5つの要素に分類します。

季節も同様に当てはめられています。

  • 春 = 木(芽吹き、スクスク伸びる)
  • 夏 = 火(太陽が照りつけ、エネルギーが満ちる)
  • 秋 = 金(実り、空気が乾燥して冷えてくる)
  • 冬 = 水(寒さが極まり、命を静かに蓄える)

ここで気になるのが「土」の存在です。 「土」は季節と季節の間に位置し、「万物を育み、変化・調整させる場所」としての役割を担っています。

そのため、立春・立夏・立秋・立冬という各季節が始まる直前の「約18日間」が、すべて「土用」と定められました。つまり、土用は夏だけでなく年に4回(春・夏・秋・冬)存在するのです。

土用=次の季節へ体をスムーズに適応させるための「バトンタッチ期間」

土用の時期に体調を崩しやすい理由と「脾(ひ)」の役割

季節の変わり目である土用の時期に「なんとなく体がだるい」「胃腸の調子が悪い」と感じる方は非常に多くいらっしゃいます。

東洋医学では、土用の時期は五臓のうち「脾(ひ)」に大きな負担がかかると考えます。

西洋医学の「脾臓」とは違う?東洋医学の「脾」とは

東洋医学でいう「脾」は、解剖学的な脾臓だけを指すのではありません。 主に「胃腸をはじめとする消化吸収システム全般」や、「食べたものからエネルギー(気・血)を作り出し、全身へ運ぶ働き」を意味します。

土用の時期は寒暖差や湿度の変化が激しく、この「脾」の働きが低下しやすくなります。「脾」のエネルギーが落ちると、全身に十分な栄養や水分が行き渡らなくなり、以下のような不調が現れます。

「脾」が弱っているときに起こりやすい症状

消化器系のトラブル: 胃もたれ、食欲不振、お腹の張り、下痢や軟便

全身の重だるさ: 朝起きられない、足や顔のむくみ、慢性的な疲労感

メンタルの変化: くよくよ悩みがちになる、思考力が低下する、やる気が出ない

鍼灸治療で「脾」の働きを整えるアプローチ

土用の時期の不調に対して、鍼灸施術は非常に高い効果を発揮します。
当院では、崩れてしまった自律神経のバランスと「脾胃(ひい)」の機能を整え、全身の巡りをスムーズに導く施術を行っています。

鍼(はり)によるアプローチ

自律神経をリラックスさせ、過剰に緊張したお腹や背中の筋肉を緩めることで、胃腸への血流を大幅に改善します。胃腸の動脈や神経が活性化することで、低下していた消化吸収能力が本来の力を取り戻します。

灸(きゅう)によるアプローチ

「脾」は冷えと湿気に非常に弱いという特徴を持っています。温熱刺激を与えるお灸で身体の深部を温めることにより、体に溜まった無駄な水分(湿邪)の排出を促し、お腹の底からじわっと温まる安心感と元気を取り戻します。

ご自宅でできる!土用のセルフケアとおすすめのツボ

土用の期間を健やかに過ごすために、ご自宅で簡単にできる東洋医学のセルフケアをご紹介します。

食養生(しょくようじょう)のポイント

冷たいもの・甘いものを控えめに: 冷たい飲み物やアイス、過度な甘いものは「脾」を弱らせる原因になります。常温〜温かい飲み物を選びましょう。

「黄色い食材」を取り入れる: 五行説において「土」や「脾」に対応する色は黄色です。かぼちゃ、さつまいも、とうもろこし、大豆など、自然な甘みのある黄色い食材は「脾」を元気づけてくれます。

「脾」を元気に整える特効ツボ『足三里(あしさんり)』

昔から松尾芭蕉も旅の途中に灸を据えたと言われる、胃腸と全身の疲労回復に効果抜群のツボです。

【足三里の場所】
ひざのお皿の外側にあるくぼみから、指幅4本分下がったところにある、すねの骨の外側のくぼみ。
黒木先生が胃経のツボ・足三里の場所の説明をしている場面です。
  • ツボ押しの方法: 親指をツボに当て、痛気持ちいいと感じる強さで「5秒押して、ゆっくり離す」を5回ほど繰り返します。
  • お灸や温熱ケア: 市販の台座灸(せんねん灸など)をすえたり、シャワーの温水を長めに当てたり、ドライヤーの温風で心地よく温めるのも大変効果的です。

まとめ:土用は「頑張ってきたお体をいたわる大切な合図」

「季節の変わり目にいつも体調を崩してしまう……」 それは決してあなたの気が緩んでいるからではなく、季節の変化に体が一生懸命適応しようとしている「休んで整えて」というサインです。

江戸時代の平賀源内がウナギで夏の乗り切り方を提案したように、現代の私たちも先人の知恵である「東洋医学」を使って、賢くお体をケアしてみませんか?

当院では、お一人おひとりの体質やその季節の気候に合わせたオーダーメイドの鍼灸・整体施術を行っております。

  • 季節の節目になると身体が重だるい
  • 胃腸の調子がすっきりせず疲れが抜けない
  • 自律神経を整えて、次の季節を元気に迎えたい

このようなお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽に当院までご相談ください。丁寧なカウンセリングと優しい施術で、お身体の調子を根底から整えるお手伝いをいたします。

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この記事を書いた人

黒木 英二のアバター 黒木 英二 柔道整復師,鍼師,灸師

国家資格:柔道整復師・鍼師・灸師
生年月日:1980年2月6日
施術経験22年以上
様々な施術法を学び、臨床に活かしています。

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